INTERVIEW 高速道路の緑化を通して
環境保全に貢献したい。
さいたま総合保全事務所 さいたま(工)施工管理課 係長
※令和2年1月現在 武田 一樹 kazuki takeda
武田 一樹 武田 一樹

限られた工期の中、最適な時期に植栽するために。

大学では、植物の生態・分類・生理、植物に関係する土壌や景観などについて学びました。NEEに入社したのは、就職先で迷っていたときに、尊敬する研究室の教授に「高速道路の造園を手がけてみては」と紹介されたことがきっかけです。入社から約11年経ち、何度か部署は変わりましたが、ずっと緑地に関する業務に携わっています。最初は高速道路緑地の調査設計、次は植栽した緑地の点検・保全計画を担当しました。

今は、造園工事の施工管理業務を担当しています。休憩施設や高速道路ののり面*などに植樹する造園工事の工程・品質・安全を管理・監督するのが、私の役目です。中でも重要なのが、土木・建築・通信・電気・舗装など、他工事との工程調整です。限られた工期の中で多くの工事が重なるため、工程調整を誤ると植樹に最適な時期を逃してしまうことも。せっかく植える樹木が生育不良とならないよう工程調整が欠かせません。

令和元年夏にオープンした蓮田SA新上り線の工事では、それぞれの工事の関係者を集めて工程会議を主催しました。工事の準備で忙しい中、皆さんに時間を割いていただき大変恐縮しましたが、そのおかげで工程もなんとかうまく調整できました。蓮田SA新上り線に植えた樹木も概ね順調に育ち、ほっとしています。受け身にならず、率先して工程調整を進めることの大切さを実感しました。

*のり面…切土や盛土で人工的につくられた斜面

限られた工期の中、最適な時期に植栽するために。

新たなアイデアで、より魅力的な造園を手がけたい。

より良い園地にしたい、いつもそう心がけています。蓮田SA新上り線では、芝生園地での開放感やリフレッシュの提供、築山と園路による趣の創出を設計に反映しています。また、夜間も快適に利用していただけるよう照明設置を提案しました。地面から樹木に照明をあてると、葉が光を照り返して、やわらかな灯りで空間が包まれ、幻想的かつリラックスできる空間が生まれます。過去の事例や論文などの机上調査、外部良好事例の現地調査をもとに、このアイデアを実現するための提案書を作ってプレゼンしましたが、コンセプトが浸透しづらかったようで、簡単には同意を得られませんでした。その後も折れずに趣旨を丁寧に説明して提案が通り、実際にイメージ通りの園地が完成したときはとても嬉しかったです。

すべて設計図面通りに進めれば、業務はもっとスムーズになると思います。でも、もっと良い園地を造りたい、お客様が和めて植物が生き生きと育つ園地を造りたいという思いのほうが強いですね。提案しただけ業務が増えますが、そこは苦労よりも、むしろやりがいを強く感じています。

植物が好きなこともあり、自分が手がけた園地やのり面の樹木は、プライベートでのドライブでも、気になって立ち寄ったりします。枯れずにしっかり生育しているか、葉の色はきれいか、など、いろいろチェックして、気になるところがあれば管理部門に連絡します。

新たなアイデアで、より魅力的な造園を手がけたい。

緑化の重要性を世の中に伝えることが大切。

休憩施設やインターチェンジの樹木は、どれも同じだと思っている人もいるかもしれませんが、少し注目してもらえると嬉しいです。実は、その県や市の木を植えることが多く、埼玉県はケヤキ、蓮田市はハナミズキというように、その土地に関係があり、生育に適した樹木を選んでいます。

造園に関わりの少ない社内外の方々から、「高速道路に植栽って必要なの?」と聞かれることもありますが、緑化がもたらす安らぎなど多様な効果をもっと理解していただきたいと、日々感じています。

社会インフラとしての緑化は、やすらぎや景観創出の他に、ドライバーの視線誘導や遮光など、安全向上機能も担っています。また、規模は小さくても地球温暖化の抑制や生態系の回復・維持など、環境保全機能の一翼も担っています。

仕事を通じて環境保全に貢献したい。入社以来、私のその思いは変わることなく、ますます強くなっています。今後も、緑化の重要性を私たち造園職が、しっかり伝えていかなければならないと思います。また、自分の仕事や考えを相手に理解してもらうためには、まずは相手を理解する努力が必要だと考えています。一方的な理想の押しつけにならないよう、土木・建築・通信・電気・舗装などの他工事、工事前後の設計や管理の考えについても、より一層、積極的に理解を深めていきたいです。

緑化の重要性を世の中に伝えることが大切。