INTERVIEW より高度かつ詳細な点検で
高速道路の安全を守るのが使命。
さいたま総合保全事務所 土木点検診断一課 係長
※令和2年1月現在 江口 優介 yusuke eguchi
江口 優介 江口 優介

人力では困難な箇所の点検を機械化するプロジェクトに参加。

高速道路の橋梁のうち、人力では点検が困難な箇所の点検を機械化するプロジェクトの一員として、新たな点検手段の開発に携わっています。

橋梁やトンネルなど高速道路の構造物は、国が定める基準に従い、5年に1度の近接目視による点検が義務づけられています。このルールは、2012年に中央自動車道笹子トンネルで起きた天井板崩落事故を踏まえたものであり、同様の事故が起きないよう、人が近接目視で行う定期点検はとても重要です。

その一方で、ゴンドラ機能の付いた橋梁点検車などを使う橋梁の点検はとても大掛かりであり、点検者には危険がつきまといます。構造物の状態を確認するため、ひび割れなどの変状が確認できる位置まで近づかなければならず、かなりの労力も必要です。交通規制も必要となるため、高速道路をご利用頂くお客様にも大きく影響します。

そこでスタートしたのが、この点検機械化プロジェクトです。道路法が2019年2月に改定され、近接目視と同等の健全性の診断を行うことができると判断される場合には、こうした機械化点検の採用が可能となりました。

人力では困難な箇所の点検を機械化するプロジェクトに参加。

ロボット、高解像カメラ、AI。NEE点検の新スタンダードをつくる。

まず橋梁の床版下面にワイヤーを張り、ワイヤー上に設置したロボットに搭載した高解像カメラで床版下面等の構造部材を撮影します。そして、撮影した画像を技術者が解析することで変状の有無を確認し、橋の健全性を診断します。このように機械化によって、安全かつ効率的に点検できるだけでなく、より高度で詳細な点検ができるようになります。また、撮影した画像の解析をAI技術で自動化することで、点検に係る労力が低減されるとともに、橋梁の安全性を客観的な基準で判断し可視化できるようになります。通常の方法では点検が困難な箇所は多数存在するため、これは画期的なことです。

この方法が、今後NEEのスタンダードになると思うと、やりがいはありますが、プレッシャーや緊張感も大きいです。これまでになかった点検手段を現場に導入するわけですし、人々の安全に大きな影響を与えることですからね。もちろん、人の近接目視による点検も大切だと考えています。近接目視が必要な箇所、新技術が必要な箇所、それぞれ使い分けることが重要だと思います。

ロボット、高解像カメラ、AI。NEE点検の新スタンダードをつくる。

家族の思い出を守る、高速道路のホームドクターとして。

大学時代は土木工学を専攻し、道路計画など都市のマスタープランを研究しました。家族旅行でよく利用した高速道路は、子ども時代の楽しい思い出と結びついていることもあり、もともと興味がありました。さらに、会社説明会では、「高速道路のホームドクターを目指す会社」という言葉にひかれました。

2011年の入社以来、建設、維持、管理、調査設計と、土木の現場をひととおり経験し、今は点検診断課に所属しているわけですが、今でも「高速道路のホームドクター」という、あの言葉をときどき思い出します。高速道路の安全を守っているということは、多くの子どもたちや家族の思い出を守っていることだと思います。

現在は、機械化による点検が、従来の近接目視点検より優れていると証明できるよう、その検証結果をまとめているところです。順調にいけば、2020年4月からこの新たな点検を一部で取り入れることができます。

機械化点検の計画を順調に進めて、高度かつ詳細な点検を実現したい、今はそのことで頭がいっぱいです。前例の無い業務ですが、だからこそ、おもしろいし、やりがいも感じています。現場の経験を活かし、今後も、NEEでさまざまな挑戦をしていきたいです。

家族の思い出を守る、高速道路のホームドクターとして。